これやったらNG 信用経済わかりやすい失敗例/反面教師

たまりば編集長こぐま(ジェイ・ライン株式会社 大熊雅樹)

2021年11月16日 08:00

おはようございます。
ジェイ・ラインWEBコンテンツ事業部マネージャーの大熊です。

今回は、ちょっと硬めのタイトルになってますが、びびらず読んで下さい(苦笑)
経済の話は苦手…という方でも、身近な例を挙げて解説しますので。

プライベートで利用したあるサービスが、ちょうど今、僕が主体となって進めている新サービスの企画の根幹に関わるもの(反面教師という意味でね)だったので、失敗事例として紹介させてもらおうと思います。

「信用経済」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
この言葉自体は聞いたことがなくても、単語の意味からなんとなく推測がつくかもしれませんね。

超訳すると「注目を浴びる便利な商品・サービスであっても、【信用】がないと消費者に選ばれないよ」ということです。
皆さんも、なんとなく個人での買い物、仕事上の取引で、売り手を【信用できるかどうか】が判断基準の1つになっているという意識はあるんじゃないかと思います。

いくら便利で安くて手軽に購入できる商品・サービスでも、【信用できない】【胡散臭い】相手からは購入しにくいですよね。



今回、僕が引っかかってしまったのは、この【信用できない】サービスの1つ。
もう普及して2年以上経つサービスで、初期の頃は「注文したのに納品されない」とか「中身がこぼれていた」とかいった噂を知人づてに聞いてはいたものの、さすがに年月が経ち、今では社会に浸透・定着しつつあるので、初期の頃のトラブル原因は改善されてるだろうと、【うっかり信用】してしまったがために、煮え湯を飲まされる結果となりました。

社名は明示しませんが、いわゆるフードデリバリーサービスの1つで、飲食店のデリバリー用メニューを専用アプリから注文すると、このサービス会社と契約している配達員さんが指定の場所に届けてくれるというもの。

夕飯時にお客さんが来る予定があったため、先週末に初めて利用してみたら痛い目に遭いました。

食べたいメニューを選んで注文。
配達方法は「置き配」を選択。
コロナ禍で、宅急便やAmazonで購入した商品も「置き配」にしてもらうことが多かったのと、このサービスのデフォルト設定が「置き配」だったので、特に気にせず注文を確定させました。

この先が泥沼の始まり…。
到着予定時間にアプリに通知が届いて、届いたのかな?と思ってスマホを見てみると、【知らないお宅の玄関先に置かれた写真と納品完了報告】が…。
添えられていたのは「表札がありませんでしたが、写真の場所にお届けしました」というメッセージ。



いや、うちは表札あるし、表札なかったら依頼主本人の家かどうか確認できないんだから、せめてインターホン押して確認するのが最低限できることでしょ…。

問い合わせをしても即レスがなく、かかってきたサポートセンターらしき相手からの電話(番号非表示)は、すぐ切られるし…仕方ないので、お客さんに留守番してもらい(汗)近所の家を10軒ほど周ってみたけど、送られてきた写真のお宅はない。

どこ行ったー、唐揚げ弁当(涙)



連絡がつかない以上、待っていてもお腹が空くだけなので、仕方なくお客さんと一緒にコンビニへ。
こうなるなら、最初から自分で飲食店へ行ってテイクアウトした方が、よほど楽で確実だったよ。

しかも、このサービス会社は「地域貢献」をうたっていて、便利なサービスの継続的な提供のために「チップ制度」を導入してる。
自分たちのまちで事業を続けていくために協力してねという趣旨だったので、注文時には共感して購入額の5%をチップとして支払った。

当然返金処理をしたけど、お金さえ戻ってくれば済む話じゃないよね?

・注文から到着までの待ち時間のロス
・配達ミス発覚から問い合わせをしてレスを待つ時間のロス
・結果的にキャンセルしてコンビニへ行く時間のロス
・お待たせしてしまった来客からの信用問題
・注文した飲食店側への間接的なマイナスイメージ
 これが頻発してるとすると飲食業界全体への風評被害
・誤って届いたお宅は商品を廃棄せざるを得ないため、フードロス
・翌日まで続いたサポートセンターとのメッセージのみでのやりとりに費やした時間

こうした問題について、サポートセンター側からは翌日になって「返金処理済みのため、これ以上の対応はできない」との回答…。

まあ、サポートセンターの対応できる範疇じゃないことまで問題提起しちゃった気がしたので、週明け月曜夜までという回答期限を設定の上、担当部署の方からの回答をしばらく待つことにしました。
(だけど、月曜24時時点で回答なし…)

少なくとも24時間365日稼働してるサービスなんだから、サポートセンターからでもいいので電話1本あってしかるべきだよね。
コロナ禍で電話受付窓口を閉鎖してるそうなんだけど、こちらの電話番号を伝えてるんだから、サポートセンターの責任者とかから電話してくれれば、メッセージでやりとりを繰り返す必要がなかった。

ミスは、どんな会社でも起きるのは仕方ない。
人がやってるんだもんね。

問題は、そのミスによる相手側の損害や自社の信用問題をいかに最小限に止めるか。
ここが、とっても浅はかで、【信用できないサービス】と認定せざるを得ませんでした。



今回の出来事を「反面教師」として、自分の仕事、いま企画を固めようとしている新サービスにいかに活かすか?という目線で考えると、ある意味、とても参考になる失敗事例でした。

いま、【信用】を土台にした新サービスを企画中です。
既に自分も含め弊社内では成功例が複数あるビジネスモデルを発展させ、他のパートナー企業さんにも協力いただきながら成長させていこうとしています。

まだテスト走行を始めようとしている段階なので、公に発表できるのは先になりますが、どんなビジネスにせよ【信用】という土台を忘れて、優れたビジネスモデル、優れたマーケティング手法、優れた商品・サービスだけが先行しても、長続きせず淘汰されていくでしょう。

遠回りなやり方かもしれないけど、僕は【信用】という土台なしにビジネスをやることには反対です。

わかりやすい例で言えば、「たまりば」内で取り組んでいる社長インタビューと経営者コミュニティ。
ただコンテンツを作りたいだけであれば、ホームページを見るだけでもライターがいれば、それなりの記事は書けます。
でも、それって誰でもできることだし、経営トップの方の熱量を伝えられない。
何より、相手企業さんと僕たちとの間に信頼関係なんて生まれない。
実際に経営者の方からお話を伺い、信頼関係を構築した上で、僕たちが目指す方向性に共感していただいた企業様を、「たまりば」がお薦めする企業として経営者コミュニティにご招待しています。
おこがましい言い方かもしれませんが、「たまりば」が各企業様の【信用】を担保し、媒介する役割を果たせればと考えているんです。

クラウドファンディングも同様。
いくら、僕がキュレーターとしての知識・スキルを持っていたとしても、プロジェクト起案者さんが信用を軽んじる場合、プロジェクト自体が上手くいかない可能性が高いので、クラファンスタート前に、まず信用構築のためのブランディングから提案させていただくことも出てくると思います。

【信用】に基づくビジネス。
これって基本中の基本だと思うんですが、IT、AI、DX…と技術やテクニックだけに傾倒し過ぎると、ついつい忘れてしまいがち。

商店街育ちなせいもあるのかもしれませんが、僕は【信用】という土台がある前提で、企画力・技術力・テクニックで勝負するビジネスがしたいです。


・多摩地域で「ビジネス共創コミュニティ」をつくろう
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